イスラエル人歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』を読んだ

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ベストセラー『サピエンス全史』の著者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏の大作『ホモ・デウス』を読んでみた

 

こんにちは!タツノオトシゴです(@Phycodurus3

2018年も気づけばあっという間に年末ですね〜。

あのネタを書いて、次はあのネタを書いて、年末は締めの記事を投稿してブログ納めでもしようと考えていましたが、見事に考えていただけで終わってしまいそうです。はい。

事実上この記事が2018年最後の記事になるかと。

目を通して下さっている方々には感謝です。

お陰様で見切り発進で立ち上げたこのブログも約1年、少しずつですが、読者を伸ばして順調に運営できております。

ありがとうございます。

さて突然ですが、皆さんは読書はしますか?

本は良いです。

安価で新たな知識を学べたり、非現実な世界にトリップしたり。

コスパの良い自己投資であり、娯楽でもあると思っております。

僕にとって読書は最早、1日の食事、排泄、睡眠と同じくらい生活に馴染んでおり、日課となっているほどです。

個人的に今年はとても素晴しい本にたくさん出会えた年で、書評を書きたい本が山ほどあります。

今回はその中の1つである、イスラエル人歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が書いた大作『ホモ・デウス』をご紹介したいと思います。

 

 

 

イスラエル人歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏について

 

まずは著者のご紹介を。

『ホモ・デウス』の表紙の記載から引用させていただきます↓

 

出典:Wikipedia

 

1976年生まれのイスラエル人歴史学者。

オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。

オンライン上の無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。

著書『サピエンス全史』(小社刊)は世界的なベストセラーとなった。

出典:Wikipedia

 

ご覧のように聡明なお方です。

Facebookマーク・ザッカーバーグ氏も『サピエンス全史』の愛読者のようで、ハラリ氏の著書は世界のインテリ層からも指示されています。

 

 

壮大なホモ・サピエンスの歴史と未来

 

ここから本の内容について触れていきます。

目から鱗の事実や見解が多く登場します。

 

 

これまでの人類の課題は飢饉・戦争・疫病

 

まずは上巻の冒頭で、これまでの人類は飢饉・戦争・疫病の3つが取り組むべきリストの上位を占めていたとして本書が始まる。

まずこの時点で言われてみて納得感はある。

それらは人類が何世紀も避けられない課題であり、神や天使や聖人に祈り、無数の道具や組織や社会制度を考案してきたにもかかわらず、飢饉や暴力や感染症のせいで膨大な数の人が命を落とし続けてきたようです。

しかし人類はこの数十年で完全に解決とまではいかないが、対処可能な課題に変えた。とした上でハラリ氏はこう続ける。

 

今日、食べ物不足で死ぬ人の数を食べ過ぎで死ぬ人の数が上回っている。
兵士や殺人で死ぬ人より、自ら命を絶つ人の数が史上初めてそれを凌ぐ。
旱魃やエボラ出血熱やアルカイダによる攻撃よりも、マクドナルドの過食や糖分の摂り過ぎで死ぬ可能性のほうがはるかに高い。

2012年には世界中で約56000人が亡くなったが、そのうち、人間の暴力が原因の死者は62万人だった(戦争の死者が12万人、犯罪の犠牲者が50万人)。一方、自殺者は80万人、糖尿病で亡くなった人は150万を数えた。今や砂糖の方が火薬よりも危険というわけだ。

出典:『ホモ・デウス』上巻より

 

ここからこれまでのホモ・サピエンスの大きな歴史の流れをしっかり踏まえて、俯瞰的で説得力のある説を提示してくれます。

冒頭のこの展開だけでも既に読み応えがあります。

 

 

人類は自らを神にアップデートする

TheDigitalArtist / Pixabay

 

上巻の中で言及されている説で最も印象に残っている部分があります。

 

人間はつねにより良いもの、大きいもの、美味しいものを探し求める。
何かを成し遂げた時に、人間の心が見せる最もありふれた反応は、充足ではなくさらなる渇望だ。

出典:『ホモ・デウス』上巻

 

上記の文章は資本主義社会に生きる我々現代人を見事に描写した一文なのではないでしょうか。

モノ、美味しい食事、刹那的なセックス。

これらは持続性が短い快楽で、これらをいくつになっても追い求める人はある種の病気なんじゃないかと普段から感じていました。

幸福度を上げたら、より良いものを求めて行動することになるので、日常の小さな幸せで満足できなくなるのだと思います。

果たして生活レベルを上げ続けるのは本当に幸せなのでしょうか?

僕は疲れるだけだと思います。

そして更に成功は次なる野心を生むとして、

 

前例のない水準の繁栄と健康と平和を確保した人類は、過去の記録や現在の価値観を考えると、次に不死と幸福と神性を標的とする可能性が高い。飢餓と疫病と暴力による死を減らすことができたので、今度は老化と死そのものさえ克服することに狙いを定めるだろう。
人類を残忍な生存競争の次元まで引き上げることができたので、今度は人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス(神の意味)に変えることを目指すだろう。

出典:『ホモ・デウス』上巻

 

ついに『ホモ・デウス』の語源が明かされると共に、本書の核となる部分が語られます。

タイトルの『ホモ・デウス』とは”ホモ・サピエンス””ゼウス(神)”を合わせた造語だそうです。

 

 

不死と至福、神のような力

 

先で語られたホモ・デウスになることというのは、すなわち不死と至福と神のような力の獲得であるとし、ホモ・サピエンスの終焉と超人誕生の未来への筋書きと論理を具体的に展開してくれます。

神にアップグレード?不死?超人?

筆者はSF小説でも書きたいのか?と感じるかもしれませんが、遺伝子工学や再生医療、ナノテクノロジーといった分野の発展についてしっかりと事実を交えて紹介しております。

2012年にGoogleのエンジニアリング部門ディレクターに任命されたカーツ・ワイルという人物が、その1年後にキャリコという子会社を設立しました。

このキャリコという会社は「死を解決すること」を主眼としているそうです。

他にもやはりGoogle不死の実現を心から信じるビル・マリス氏を投資ファンドのグーグル・ベンチャーズのCEOとして採用。

グーグル・ベンチャーズは20億ドルのポートフォリオの36%を生命科学のスタートアップ企業や、野心的な寿命延長プロジェクトを手がける企業に投資しているそうだ。

これらの遺伝子工学再生医療ナノテクノロジーの分野は猛烈な速さで発展しており、2100年〜2200年までには人類は死に打ち勝つと考えている専門家もいるとのこと。

先に挙げたキャリコのカーツ・ワイル氏はもっと楽観的で2050年には不死を実現できるだろうと語っているそうです。

ここ数年でテクノロジーと時代の変化のスピードがものすごく早くなりましたが、上記の事実を見る限り、また1つSFの世界が現実に変わりそうです。

仮に実現されたとしたら、まずは資産を豊富に持っている人や特権階級からその恩恵を受けることになるでしょう。

果たしてそんな攻殻機動隊のような未来が本当にやってくるのでしょうか。

そして死ないことは本当に幸せなんでしょうか?

考え方によっては不幸だと思うのですが…。

 

 

人間至上主義(ヒューマニズム)

 

上巻で語られた衝撃を引きずったまま下巻に突入すると、これまでの歴史で人類が神を拠り所としていた時代から神の存在を傍に追いやり、人間の自由意志こそが最高の権威であるとした所謂、人間至上主義(ヒューマニズム)についての説から章が始まります。

これまでは凡ゆる政治的判断や、病、戦争や、芸術に至る細部までが宿り、委ねられた。

結婚は神が定めた秘蹟であり、優れた絵や音楽を書けばそれは芸術を司る女神や、天使、聖霊によって動かされたとされていた。

現在の価値観では信じられないがそうだった。

しかし、今日では全ての源泉は人間の感情だと信じられている。

神という絶対的な存在に取って代わった人間至上主義のモットー「もしそれで気持ちが良いのなら、そうすればいい」だとハラリ氏は説く。

政治においては「有権者がいちばんよく知っている」であり、芸術においては「美は見る人の目の中にある」となる。

そして人間至上主義の人生における最高の目的は、多種多様な知的経験や情動的経験や身体的経験を通じて知識をめいいっぱい深めることらしいです。

ここからさらにこの人間至上主義は発展していく中で宗教と同じ運命を辿っていくことになります。

つまり分裂していくつかの宗派に別れていくわけです。

あまり書くとネタバレになるのでこれぐらいにしておきますが、現在の世界では日本でも人間至上主義を超えて欧米型の個人主義がもてはやされてると感じるのは僕だけでしょうか?

”自分さえ、今さえ良ければよし”というような考え方が現代日本にも定着しつつあるように思います。

 

 

生命工学・サイボーグ工学・非有機的生命工学

Comfreak / Pixabay

 

上巻でも語られた人間を神へとアップグレードするという概念を可能にするのが、科学とテクノロジーの進歩であり、生物としての限界を突破する生物工学、サイボーグ工学、非有機的生命工学の3つの道筋であるとハラリ氏。

生化学の世界では生き物はアルゴリズムであり、生命はデータ処理であるという。

そして、この考え方は科学界の定説だそうです。

 

 

アルゴリズムとAI

geralt / Pixabay

 

近年頻繁に耳にするようになったAI(人口知能)に関してのハラリ氏の見解についてはどうか。

恐らくこの部分が本書を手に取る人が一番惹かれているテーマなのではないでしょうか。

やはり、多くの社会学者らが指摘しているのと同様に、ハラリ氏もいくつかの問題点を挙げています。

この急速に進化しているAIやロボット工学についてハラリ氏は、

 

21世紀の経済にとって最も重要な疑問はおそらく、膨大な数の余剰人員をいったいどうするか、だろう。

ほとんど何でも人間より上手にこなす、知能が高くて意識を持たないアルゴリズムが登場したら、意識ある人間たちはどうすればいいのか?

出典:『ホモ・デウス』下巻より

 

と見解を述べています。

心を持たないアルゴリズムが人間より上手に教えたり、診断を下したり、デザインをしたりできるようになったら?

パターンを記憶したり分析したり認識したりする点でもアルゴリズムが人間を凌いだら?

これらの疑問に対してハラリ氏は、チェスのチャンピオンに打ち勝ったIBMのコンピューターや、コンピューターアルゴリズムを使って選別した野球チームがアメリカンリーグ初の20連勝を記録した例などを挙げながら、近い将来、人間がコンピューターアルゴリズムに置き換わる未来を指摘する。

また、AI人間を求人市場から締め出すには、特定の職業が要求する特別な能力で人間を凌ぎさえすれば良いとし、自動車業界、医療機関、あるいはAIが作曲しヒットしたクラシックミュージック等を引き合いに出し、このまま求人市場から人間を押しのけていけば、権力全能のアルゴリズムを所有する、ほんの僅かなエリート層の手に集中して、空前の社会的・政治的不平等を生み出すかもしれないと考察している。

悲観的な部分だけ抜粋したが、著者のハラリ氏は決して絶望も楽観もしておらず、上記はほんの一部だ。

 

 

感想

 

引用も多様しながら本の印象に残った部分を書いてみましたが、本当に重厚で壮大な内容になっています。

有史以前〜の人類の歴史や文明の成り立ちから始まる上巻のプロローグは、歴史学者のハラリ氏ならではの見解であり、本書の大きな見所。

上巻の濃い前置きがあり、下巻では主に現代のテクノロジーの部分に焦点を絞り展開されていきます。

本書に興味を持つ方は恐らく下巻で語られるようなAIやテクノロジー、そして人類の未来に惹かれ手に取る方が多いと思います。

ハラリ氏のみならず既に多くの著名人等がテクノロジーの発展により、職を失う人間が大勢現れることに警鐘を鳴らしている昨今。

ちょうど時代が変わる狭間に我々はいるのではないでしょうか?(平成も終わりますね〜)

そんな先行きがよくわからない現在だからこそ目を通す価値のある本だと思います。

 

 

まとめ

 

以上、『ホモ・デウス』書評でした!

上巻は前作の「サピエンス全史」を要約したような内容になっており、これまでの歴史〜宗教〜文化などについて綴られており、下巻でいよいよ本題に入っていくという構成になっています。

ハラリ氏の膨大な知識でたたみ掛けていく壮大な本書、是非書店やAmazon等で手に取って目を通してみて下さい。

衝撃的な事実が書かれていたりします。

僕もまだ読んでないのですが、前作の「サピエンス全史」も読んでおくと、より理解が深まると思います。

 

 

今後も素晴しい本をご紹介していきます。

ではでは。

 

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